参院選序盤〜中盤分析:比例区・投票予定先の変化を追う

2025年7月20日は、第27回参議院議員通常選挙の投票日です。
チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の政治意識を継続的に調査しています。今回は、参院選の前半から中盤にかけて、人々の投票予定先の政党がどのように推移しているのかをご報告します。
荻上チキ(社会調査支援機構チキラボ) 2025.07.18
誰でも

7月20日は参議院選挙の投票日です。チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の政治に関わる意識を明らかにするため、継続調査を実施していきます。

今回の調査では、参院選の前半から中盤にかけて、人々の投票予定先の政党がどのように推移しているのかをご報告します。

7月4~5日に第1回目の調査を実施。この回答者に、さらに7月11~14日に2回目の調査にご協力いただきました。つまり、一週間で人々がどのように行動を変えたかを見ることができるものです。実施方法の詳しい情報は、以下をご覧ください。

同一の調査対象者を追いかけて、複数回行う調査のことをパネル調査と呼びます。この記事では、パネル調査の利点を生かし、第1回調査で比例区の投票先としてある政党・政治団体を選んだ人が、第2回調査時点でその選択を維持しているのか、あるいは変更しているのかを分析。

変更している場合には、どの政党からどの政党へ移ったのかという動向の変化にも注目しています。

このデータは、地域ごとの調整をまだ行なっていない全国データであるため、獲得議席予測とは直ちに結びつかない点にご留意ください。特に、ここでは比例区を分析対象とするため、一人区や複数区の選挙区戦の情勢とは異なります。なお、本記事で取り扱うのは、第2回目調査にも回答してくださった1500名を対象とした分析結果です。

投票意欲の高まりと、投票先への迷い

【グラフから読み取れるポイント】

  • 「投票に行かない」と回答していた人の割合は、約4ポイント減少

  • この間に投票参加への意欲が高まっていることがうかがえる

  • ただし、そのように投票に前向きになった人たちの多くは、投票先はまだ決めかねている

多く人は1回目調査時点での投票予定先の政党を変更しておらず、全体として投票予定先の政党の構図に大きな変化は生じていません。わずかではありますが、全体に占める比率を一番伸ばしたのは参政党で、0.6ポイント増でした。そこで、参政党を投票先として選択した人たちの動向に注目してみます。

公示後1週間で参政党への投票予定者数はどう動いたか

第2回目の調査の時点(7月11~12日)で、「比例区で参政党に投票予定」とした人は、第1回の調査時点でどのように回答していたのでしょうか。

ほとんどは第1回目から参政党に決めていた人で構成されていることがわかりますが、第1回目で「まだ決めていない」と回答していた人が、参政党に流入している状況も確認できます。

では第1回目の調査で「比例区は参政党」とした人たちの中に、他党へ流出した人はいるのでしょうか。

こちらは、前出のグラフにもあったように、ほとんどの人が考えを変えずに第2回目調査時点でも参政党を投票先として選択しています。一方で、一部の支持者が、日本保守党へ流れている様子も見られます。

投票予定から「まだ決めていない」へ:自民・国民支持層の迷い

他に特徴的な動きをしていたのは、第1回目調査で自民党を投票先として選んだ人たちです。1回目に自民党を投票先として選んだ人は全体の9.5%でしたが、そのうちの10.5%の人が第2回目にかけて「まだ決めていない」と態度保留に転換しています。

また、国民民主党を投票予定先としていた人の中でも10.8%の人が、第2回目に「まだ決めていない」と、態度保留に転換していました。

比較的「支持が固い」立憲民主党の支持層

第1回目に立憲民主党を投票先として選んだ人たちはどうでしょうか。

立憲民主党を選んだ人たちは、やはり大多数が2回目調査時点でも立憲民主党を選んでいました。そのうちの3.7%が参政党、同じく3.7%が「まだ決めていない」へと移っています。ただし自民党、国民民主党と比べれば、第1回目からの投票予定者を引き留められており、支持者を比較的「固めている」様子も見てとれます。

多くは横ばい、一部は動く

以上、第1回目調査時点から2回目調査時点での、比例区の投票予定先政党の移り変わりを確認してきました。選挙戦序盤から中盤にかけて、ほとんどの政党では、投票予定者とする人々の入れ替わりが見られません。

しかし、一部の新政党の間では、第1回目では投票先を決めかねていた層からの流入や、他新政党からの流入/他新政党への流出が見られます。そして、自民党や国民民主党では、態度保留へ転換する人たちが比較的よく見られる状況も確認できました。

チキラボでは他にも、参院選の分析記事を掲載しています。次回記事もお待ちください。

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