「中道」は中道票を取れるのか ーー「中道」とみなされる層と、実際の投票予定のすれ違い

新党「中道改革連合」は、有権者からは「中道」と認識されている一方で、実際の支持は中道層よりも左派層に偏っていることが明らかに。自身を「中道」と位置づける層では自民党と支持が拮抗していますが、その約4割は態度未定の「最大の保留層」となっています。現時点では中道票を十分に取り込めていない同党にとって、この層が最終的にどのような投票行動をとるかが、大きな鍵を握りそうです。
荻上チキ(社会調査支援機構チキラボ) 2026.02.04
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チキラボでは、今回の衆院選でも3回の継続調査を実施しています。概要はこちらのページから、ご確認ください。

2026年1月16日に公明党と立憲民主党が立ち上げた中道改革連合。新党立ち上げ前日の党首会談時、党代表の斉藤氏と野田氏が繰り返し強調したのが、党名にも入る「中道」の言葉です。

中道勢力をまさに今政治のど真ん中に位置づけられるチャンス。」(野田氏)

「政治の右傾化がみられる中で中道の勢力を結集することが重要。」(斉藤氏)

はたして、「中道改革連合」は、実際に中道層の受け皿となりうるのでしょうか。

有権者の半数近くは「中道」を自認

選挙戦開始直後に行った第1回の調査では、回答者自身の政治的立ち位置、そして中道改革連合の政治的立ち位置を回答してもらいました。

政治的立ち位置を測るために、「保革尺度」と呼ばれる指標を使用。

保革尺度では、

  • 「0」を最もリベラル(左派)

  • 「5」を中間(中道)

  • 「10」を最も保守(右派)

として設定しています。

回答者がどの点数に自分を位置づけるかによって、政治的立ち位置を把握する質問です。

まず、回答者自身の政治的立ち位置の自認について見てみましょう。有権者のボリュームゾーンは「5」に集中しています。すなわち自身を政治的中道寄りであると認識する人が多くなっています。

中道改革連合の支持層は「左派」>「中道」

それでは、政治的立ち位置ごとに、どのくらいの人が中道改革連合の候補者または政党を投票先として予定しているか、その分布を見てみましょう。

小選挙区において中道改革連合を投票予定先として最も多く選んでいるのは、自身の政治的立ち位置を「4」(やや左寄りの中道)に位置付けた人たちです。「4」グループのうち43.2%が中道改革連合を投票先に選んでいます。そこをピークに、左に行くにつれて、徐々に少なくなり、0点(最も左寄り)では22.7%となり、中くらいの山を形成しています。

「5」(中間)を選択した人たちの中で小選挙区の予定投票先として中道改革連合の候補を選択した人は11.4%しかおらず、現状、「中道票」に支援される傾向があるというより、中道よりも左寄りの人たちに選択される傾向の方が強いことがわかります。比例代表の方では、この傾向がより顕著です。

では、有権者は中道改革連合の政治的位置付けをどのようにみているのでしょうか。

もっとも選択されているのが「5」(中間)で、34.1%を占めています。そして、右側よりも左側のほうが、やや厚みのある分布です。どうやら中道改革連合の政治的立ち位置は「中道」であるとは見なされています。ただしその上で、政治的中道の人の受け皿になりきれていないという状況です。

自民党は「幅のある右派」と認識されている

なお、比較として自民党の結果を紹介します。自民党は「中道」から「最も保守」まで満遍なく分布しています。全体として「右派的」な政党だと評価されているようです。

中道票はどこへ行くのか―最大の態度保留層としての「中道」

「中道改革政党」は有権者からは「中道」寄りの政党だと評価されている。他方で自身を「中道」と位置付けている人からの票を獲得しきれていない。では、「中道」自認をしている人は、どの政党・候補者を投票予定先として検討しているのでしょう。

はじめに、今回の選挙に対する投票意欲です。自身の政治的立ち位置を「5」(中間)と位置付けた人では、「投票に行かない予定」、「まだ決めていない」と回答した人が合計で31.4%います。

その上で投票先・投票自体の保留層を除き、「投票に行く」と決めている人の投票予定先を確認します。自身の政治的立ち位置で「5」(中間)を選んだ人の中では、予定投票先として中道改革連合、自民党は拮抗しています。一方で、この層のうち約4割は態度を保留しており、他の政治的立ち位置を選択した層と比べて最も高い割合となっています。

中道改革連合は、現時点で中道票をとりそこねているといえます。自身の政治的な立ち位置を「中道」と位置づける人たちにとって、中道改革連合は自民党以上に有力な選択肢とはなっていません。しかし同時に、「中道層」は最大の態度保留層でもあります。選挙後半にかけてこの層の動きが投票結果にも影響することが見込まれます。

  【本調査の目的について】 今回の調査結果は、あくまで有権者の意識構造を解明するためのものであり、選挙結果の予測を意図したものではありません。本分析では、被害者意識や排外主義、社会的地位とポピュリズム、マイノリティ政策などの相関に着目し、これらが投票行動に及ぼす影響を検証しました。これからの日本社会を考える上で、民意を読み解くための重要なデータを提供します。  

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