参院選前半の動向:支持政党ごとのジェンダー政策感への賛否(修正あり)

2025年7月20日は、第27回参議院議員通常選挙の投票日です。
チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の政治意識を継続的に調査。政策に対する賛否を尋ています。本記事では、その中からジェンダーに関連する政策への賛否の傾向についてご報告します。
荻上チキ(社会調査支援機構チキラボ) 2025.07.15
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結果のポイント

  • 同性婚、選択的夫婦別姓への賛否、全体では「賛成派」が「反対派」を大きく上回る

  • 参政党・保守党支持者では、「反対派」が多数

7月20日は参議院選挙の投票日です。チキラボではこの選挙期間中、日本社会で暮らす人々の、政治に関わる意識を継続調査を実施していきます。第1回目の調査は7月4日から5日に実施。調査の実施方法の詳しい情報は、以下をご覧ください。

前半の状況では、自民党、立憲民主党がそれぞれ支持者を固める一方、参政党が伸びを見せており、国民民主党も続いています。こうした動向は、すでにメディア各社が報じている通りです。

今回の調査では、様々な政策への賛否についても調査しています。その中から本記事では、ジェンダー関連の政策について紹介します。

なお、支持政党別の分布に言及するところがありますが、今回の調査データでは1.5%(28名)以上の支持者がいる政党をピックアップしています。本記事で言及する政党の2025年7月5日段階の支持率は以下の通りです。

選択的夫婦別姓への賛否は

まず選択的夫婦別姓です。「夫婦の姓を別々にすることも選択できる、いわゆる選択的夫婦別姓を導入するべきだ」に対する賛否を尋ねたところ、「反対」12.7%、「やや反対」8.4%、「どちらともいえない」30.2%、「やや賛成」21.7%、「賛成」25.6%、「答えたくない」1.4%との結果が出ました。賛成派は47.3%で、反対派の21.1%を大きく上回っていました。

支持政党別にみてみましょう。

反対派の存在感が目立つのは、日本保守党、参政党です。日本保守党支持者は「反対」だけで74.3%にのぼります。「やや反対」も含めると反対派は75.2%です。

参政党支持者も「反対」だけで50.7%と過半数を超えています。「やや反対」も含めると反対派は64.8%です。

一方、自民党支持層では反対派は31.9%となり、賛成派の40.7%よりも少なくなっています。立憲民主党、日本維新の会、れいわ新選組、公明党は共産党は、賛成派が多数を占めています。

同性婚についての賛否は

続いて同性婚です。「男性/女性同士の結婚を法律で認めるべきだ」という意見への賛否を尋ねたところ、「反対」13.2%、「やや反対」8.7%、「どちらともいえない」37.0%、「やや賛成」21.6%、「賛成」17.1%、「答えたくない」2.40%との結果でした。賛成派は38.7%で、反対派の21.9%を大きく上回っていました。

支持政党別にみてみましょう。

自民党支持者のうち反対派は33.2%、賛成派は28.1%です。政党支持者内でも、意見が割れているのがわかります。

賛成度合いが高いのは、共産党の賛成派54.8%、れいわ新選組の賛成派54.0%、立憲民主党の賛成派48.6%です。

逆に反対度合いが強いのは、日本保守党の反対派71.4%、参政党の反対派45.1%、自民党の反対派33.2%、国民民主党の反対派29.0%となっていました。

同性婚に関しては、国民民主党支持者は自民党支持者と同程度に保守的な傾向となっていました。また、日本保守党や参政党は、自民党よりも「さらに右」を競う状況になっていました。

生理用品の無償配布への賛否は

最後に、SNSなどでも話題となっていた、生理用品の無償配布などについての賛否も尋ねています。月経衛生の確保も、ジェンダー平等と人権保証の一環として位置づけられるテーマです。

「生理用品を公衆トイレなどで無償配布すべきだ」という意見への賛否を尋ねたところ、「反対」13.0%。「やや反対」14.1%、「どちらともいえない」44.2%、「やや賛成」16.9%、「賛成」10.0%、「どちらともいえない」1.8%でした。

賛成派は26.9%、反対派は27.1%と、賛否が分かれています。このうち女性のみに着目した場合、賛成派は28.3%、反対派は28.4%です。また、下のグラフを見ると、男性にくらべ女性の方が賛成・反対というはっきりとした意見を持ちやすくなっていることもうかがえます(統計的な検定でも5%水準で有意であることが確認できました)。

支持政党別にもみてみましょう。

他のジェンダー関連政策と比べれば、全体的に支持政党別の賛否の差は大きくはありませんでした。それでも、やはりここまでみてきたジェンダー関連政策に対し、「反対派」が多数を占めてきた政党への支持者では、生理用品無償配布でも「反対派」が多くを占めています。

日本保守党で反対派が54.3%、参政党で反対派が43.7%、自民党で反対派が33.6%、国民民主党で反対派が32.3%と、反対派が多くなっています。

特徴的なのは、日本維新の会の支持者です。選択的夫婦別姓や、同性婚に対しては反対派が多くなかったものの、生理用品の無償配布では反対派の割合が増えていました。

ジェンダー政策に着目をすると、政党ごとに立場が大きく分かれています。そして有権者もまた、支持政党ごとに、考えの傾向が異なることがわかりました。投票結果がジェンダー政策に与える影響も考慮した上で、どういう判断を行うかが問われる1週間になりそうです。

修正

当初の記事では冒頭「記事のポイント」で「自民党・参政党・保守党・国民民主党支持者では、「反対派」が多数」と記していました。他党と比較しての記載でしたが、回答割合において「賛成派」より「反対派」が多数と読めてしまうことから、「参政党・保守党支持者では、「反対派」が多数」の記載に修正しました(2025年7月16日)。

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本調査は、マンスリーサポーターのみなさまのご支援により、計画・実施することができました。心より感謝申し上げます。

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